2019年11月2日の東京国際映画祭でのオールナイト上映での鑑賞。正確な時間はわからないが、4時間近くの大作。というか、劇場の席に付いてからトークショーを1時間行ってからの上映であると告げられる。その上、上映時間についてはなにも言われなかったが、途中で休憩が入ることを告げられる。おいおいマジかよ。映画見てから六本木で早朝まで営業してるラーメン屋にでも行こうかな。これがトークショーが始まるときの正直な気持ちだった。
トークショーはネタバレをできるだけ起こさないような話をしていたが、それでも非常に面白い。
原一男監督は、権力に楯突く奥崎謙三(「ゆきゆきて、神軍」の主人公)のようなヒーロー?を探していたようなのだが、前作「日本VS泉南石綿村」を作るころには、自身の求めるヒーローが見つからない事に気づきつつあったそうだ。このトーク内容とほぼ同じ事が「日本VS泉南石綿村」サイトに記載してある。http://docudocu.jp/ishiwata/director.php
そんな状態でありつつも、他作品(になると思われる)の撮影や取材を行っている時に、安富歩を主人公とした映画を撮ることになる。そこから映画が始まるのだ。
私はれいわ新選組の支持者ではないのだが、政治には非常に興味があったためにれいわ新選組の候補者を一通り調べていた。しかし、「安富歩」という人物のことは掴みかねていた。他の立候補者はそれぞれのバックグラウンドやそこから発せられる主張が腑に落ちるものがあったのだが、このヘンテコな東大教授はよくわからない。れんわ新選組の参院選候補者として、山本太郎を除きはじめに名前が出たと記憶しているので、Youtubeの会見を見たはずなのだが出馬理由や主張は全然覚えていなかった。最も目立つ「女性装」については個人の自由であるし、常識みたいなものに縛られないスタイルの表出なのかな?ぐらいの認識でもあった。その程度の認識で彼を見ていたような人間、つまり私に向けたような映画だったのだ。
渡辺てる子や蓮池透などの他候補者の主張や活動についてもちょこちょこ出てくるが、メインはやすとみ歩。山本太郎もあまり出てこない。彼(彼女?)は選挙自体に疑問を持っていると公言して憚らない(はばからない)感じ。だが、そこが良い。そんな彼(彼女?)とれいわ新選組の選挙戦を通じて、見せられるものは、これまで見たことがないものだと言える。4時間はあっという間とはいかなかったが、目が離せない内容ではあった。
しかし、それでもモヤモヤが残る。れいわ新選組の支持者は現在の政治状況に不満をいただいている人達に支えられていて、そういう人達は山本太郎に希望を見出したり、蓮池透の主張に同調したり、大西つねきの語る金融理論や経済対策に関心を持ったり、渡辺てる子や三井よしふみに共感を覚えているのだ。
そこから、やすとみ歩は外れている気がする。それに私自身は共感しにくいと感じたのだ。この映画をもう何度か観るか、この人物をウォッチし続けないとこのモヤモヤは溶けないかも知れない。
鑑賞場所:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン 2 E-15
鑑賞日:2019年11月3日(11月2日深夜)
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