文京シビックホールで開催されたUNHCR WILL2LIVE映画祭2019にて上映された際に観賞。日本ではこの映画祭が初上映。
ソマリアから難民としてハンガリーに1人で渡った17歳の女性・カフィアを写すドキュメンタリー。彼女は15歳でハンガリーに行き着き養護施設で生活している。高校卒業資格を得るための勉強風景やルックスを生かしたモデル活動やアルバイト、施設での日々の生活をカメラは追う。その合間合間に彼女へのインタビューを挿入していくことで、彼女が置かれた状況やそれについての彼女の思いを映し出していく。
はじめのうちは難民として彼女がどういう立場でいるのかについての言及がないことに戸惑う。日本では難民認定を受けられること自体が希なことだが、ヨーロッパではそこまで希なことではないということか。この時点ですでに日本人である私の理解は置いて行かれてる。
彼女の生活では勉強、特に歴史の学習についての大変さが際立って描かれる。確かに普通に考えても、ある国で学ぶ歴史はその国自身の歴史と、その時々で大きな力を持っていた国、特に欧州や近代史であれば欧米の話になると思われるが、アフリカの国から全く関係性のない国にきて、その国の歴史を学ぶというのは結構ハードだろう。
また、これまで運動・スポーツをしていなかったことも資格取得のハードルとなる。特に言及していないが、イスラム教の元では女性の外出を簡単に認めないことや、肌の露出を許さないことが影響しているのだろうと私の少ない知識でも想像できる。
しかし、映画が終盤にさしかかると、実はこんなハードな状況さえ「イージー」だったのかと思わせられる告白が行われる。あーそうか。それが最も辛いところなのか。ここまでの映像でも、一人の人間として彼女を追ってきてはいたが、ここに至って、テレビなどで目にする多くの難民達ではなく、一人の女性であることが際立ち、カフィアの今後が気になるところで映画は終わる。非常にずるい作りだ。
映画の主題とは別になるが、難民問題に疎い日本人として以下のような疑問がわいた。
まず第一に、ソマリアの旧宗主国はイギリスとイタリアだそうだが、彼女が何故ハンガリーで難民生活を行っているのかについては説明がされない。
また、ソマリアからハンガリーに落ち着くまでに1年がかかったそうだが、その部分についての具体的な経緯について話がない。
まあ、話の本筋から離れてしまうので、入れていないのだろうが、日本で劇場公開するようなことがあれば、そこら辺の話が入ったパンフなどあればいいなと思う。
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